大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)3325号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と争点〕原告は本件手形の所持人として振出人たる被告にたいし手形金の支払を求めたところ、被告は振出の事実を認め、抗弁として本件手形は被告が訴外東京ポリ化学株式会社の懇望により同会社に金融を得しめる目的で振出したもので、当事者間に振出人には手形上の責任を負わせない特約があり、原告はみぎ事実を知悉して本件手形を取得したもので原告は悪意の取得者であるから、被告には本件手形金の支払義務はないと抗弁した。

判決は被告の抗弁はそれ自体理由がないとしてつぎのとおり説明している。

〔判決理由〕被告は、本件手形はいわゆる融通手形として振出され、当事者間に振出人には手形上の責任を負わせない特約があつたもので、原告は悪意の取得者であると主張する。ところで、融通手形の振出人は、被融通者から直接手形金の支払を請求された場合は支払を拒絶することができるとしても、被融通者以外の者が手形所持人として請求した場合は、融通手形の故をもつて支払を拒絶しえないことは融通手形の性質上当然であり、このことは手形所持人が融通手形なることを知つていたかどうかによつて異るべきではない。そして、融通手形の当事者間でなされた振出人に手形上の責任を負わせないという特約は、被融通者が融通者に迷惑をかけないという趣旨であつて融通者が何人に対しても責任を負わないという趣旨のものではなく融通者の好意を前提とする融通手形としては至極当然のことであるから、このような特約があり、かつ第三者がこれを知つて取得したからといつて、振出人の責任はこれによりいささかも軽減されるものではないというべきである。それ故被告の抗弁は主張自体理由がない。(渡辺忠之)

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